











福井県立図書館 著
講談社 2021年 (新品)
このgood title booksでは、有名なものや、今売れている本はあまり取り扱わない傾向がある。それは、タイトルきっかけじゃなくても多くの方が手に取るだろうから、そして、店主が天邪鬼ゆえだが、
この本は、タイトルもいいし、この上なく人間らしいし、そしてそして、実はタイトルつながりということで著者の方と対談したからこのタイミングでピックアップする。
【対談】「良いタイトル」と「覚え違いタイトル」収集家がタイトルの"魔力"を探る
https://www.pen-online.jp/article/011049.html
図書館ではどこでも、利用者の方からの「この本、ありますか?」という問い合わせに答えるレファレンスサービスをされていて、多少間違っていても、色々と周辺情報を聞いて、その本を探し当ててくれる。
福井県立図書館では、利用者の方が覚え間違え、かつ、その本はもしかしてこちらでは?と答えたタイトルについてのリストがHPで公開されていて、一時期話題になっていた。僕はたまたま調べ物をしていて、SNSのバズとは別に発見したので、なんだかとても嬉しく、個人的にとても好きだった。
http://www.library-archives.pref.fukui.lg.jp/tosyo/category/shiraberu/368.html
その覚え違いタイトルをまとめたのがこの本。100万回死んだねこ、ってどういうこと〜!?というのは、もちろん「100万回生きたねこ」を間違えたケース。その他、「坊ちゃん」を「僕ちゃん」、「なんとなくクリスタル」を「とんでもなくクリスタル」など、笑える覚え違いが満載となっている。そして、よくその間違いから、正解を探し出せるな、という司書の方の才能に感心する。
先に、人間らしい、と書いたが、ポイントは2つあって。
1つは、もちろん人間の間違いについて。パラパラめくれば、かわいらしくもあり、想定もしない間違いに、笑えるし、和める。失敗は成功の元。ノーベル賞の田中さんは投入する薬品を3ケタ間違ってしまったことにより新発見をしたし、タルトタタンもタタン姉妹の失敗から生まれたタルトだし、さらにいえばみなさんが今日食べたかも知れないパンだって、メソポタミア人のある日の失敗から生まれた。間違い。失敗。なんて人間らしくもあり、進化にとてつもなく貢献するものだろう。
もう1つは、前書きと後書き。図書館は、公的なもので、若干硬めなしっかりしたイメージがあるが、その裏では当然人がいるわけで、そんな当然なことも、なかなか普通に図書館に行くだけでは、想像をすることも少ない。司書という仕事。図書館という仕事。その裏にいらっしゃる人たちの思い。その裏側についてあとがきに書いてあり、上のリンクでリストを見るのとはそこが違うところ。
上のリンクを貼った対談をしている時に聞いたのだが、先日、福井県立図書館で、覚え違えられたタイトルの本を並べた特設コーナーを作ったら、大反響で、すごい勢いで借りられたらしい。普段なかなか人々の手が伸びなかったであろう名作や古典も含まれているのに、間違えられたタイトルという紹介で、人が読むというのも面白い。
本と人は、出会い方がちょっと違うだけで、全然関係が変わるのだろう。この本屋も、タイトルから出会いを変えているという点では、同じ。これからもいろんなタイトルとみなさんをマッチングして、普通だったら手に取ってなかった本との出会いをプロデュースしていきたい。と思ってます。
――――――――――――――――――――――――
◎商品はご注文当日~5営業日以内に発送します。
※お盆休み(8/12-16)や年末年始(12/29-1/3)、
その他随時サイトに記載する臨時の休業を除きます。
◎もちろんこの本にも、このおまけつきます。
https://goodtitlebooks.stores.jp/items/626351ef728954026de5013e