












古田足日 作 長野ヒデ子 絵
理論社 2001年(新版) 新品
友達の宿題を代わりにやってくれるサービスを提供する、小学生スタートアップの話。書かれたのは1966年なのでスタートアップなんて単語は出てこないが、イノベーションが重宝される時代を先取りするかのようなタイトルが最高にイケてる。
なんで勉強するの?
一言で言えば、この問いが通底するテーマ。そういう意味では、子供の頃出会ってたら良かったかなと思う。というのは、小6の時、塾で、みんなが問題を解いている時に、いつもピンクのYシャツを着ている算数の先生がおもむろにこう聞いたことがあったからだ。
「みんなさぁ、なんで勉強しなくちゃいけないと思う?」
その先生は、問題を解く手を止めた何人かの生徒に答え促したのち、自分の答えを披露した。「他人に迷惑をかけないため」だと。その時は、ああ、そうですか、くらいで聞き流したけど、それから大人になるにつれ、何度も何度もそのシーンを思い出していた。せっかくそういういい質問を投げかけたのに、先生の答えが、それか?もったいなすぎる、と。
この小学生スタートアップは、実は本の序盤1/3くらいで、解散してしまう。まあ、先生に見つかって、怒られるわな。しかし、残りの2/3のお話では、このメンバーがまた一緒にやりたいことを見つけては、協力して取り組む。次々と起業するシリアルアントレプレナー、と言ってはかなり言い過ぎだが、その様は楽しい。みんなで考えて、みんなで行動し、結論を出していく。
戦後20年の頃が舞台だが、子供同士の喧嘩の話、機械に仕事を奪われる話、労働組合、あたり、中に登場する単語は違えど、時代が変わっても変わらないものばかり。「アクティブラーニング」も、そのうちの1つで、6年生の担任として登場する三宮先生が、まさにそれをやっている。
「この一年間、ぼくはきみたちにじっくり感げてもらいたい。自分はなぜ勉強するかということだ。これがこの一年間の宿題だ。」と答えのない問題を長期目線で投げかける。また、生徒たちが好奇心をくすぐられた題材が登場した時には、「それ勉強してみるか」と探究学習へと導く。ちなみにそのテーマは、むかしといまとどっちが野蛮か。そして、生徒たちの頭を動かし、考えを尊重し、答えを言わない。優しいファリシテーション&厳しい時は厳しい。結構理想の先生かも。
全体的に未来志向な物語であるところも好感が持てる。それは作中のセリフにも多々表れていて
「おおまかには、ぼくは人間の歴史は人間が目ざめてくる歴史だと思っている」
と三宮先生が言ったり、
「そうか。まっていても未来はこない。未来はつくるものなのか。」
と子供たちが気づいたりする。さっきも書いたがこれは、1966年(初版)のもの。いろんなところでこぞって引用される、通称パソコンの父、アラン・ケイの言葉「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」が1971年なので、いろんな面で先取りした本だと言えるかもしれない。
以上、僕が勝手に思いを巡らせましたが、お子さんと一緒に読んで、色々考えを巡らせてみてください。
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