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作 天野祐吉 絵 大槻あかね
福音館書店 2000年 新品
この絵本は、僕に、ヤナイくんのポスターを思い出させる。
ヤナイくんは、元博報堂でタワレコのポスターとか紅白とかにも出て有名な箭内道彦さんではない。高校の時のオシャレなイケてる同級生。
美術の時間、何でもいいから商品のポスターを作るという授業があって、ヤナイくんは雑誌から男の人の顔をめちゃくちゃたくさん切り抜いて画用紙の上に置いていた。最後、真ん中にボンと大きく、整髪剤のボトルの切り抜き。そう、このスプレーがあれば、どんな髪型もできるよ、ってメッセージが一目で分かった。面白い!先生にも褒められていたがその前に、貼り付ける前のその全部の切り抜きを、やんちゃなUくんが寄ってきて、フーと吹き飛ばし、あー!ってなったことも覚えてる。その後まさか僕自身が広告業界で働くことになるとは、1ミリも思ってない頃のお話。
そんな30年前の思い出で始めてしまった今回ご紹介するのは、同じくポスター作りのお話の絵本。主人公は小学4年生。舞台は台所。お母さんにおこづかいの値上げをアピールするために、目につくところにポスターを作って貼ろうと考える。
こんなことばはどうかと、頭の中でことばを思いつき、それに対して、こんな絵をつけたらどうかと、また頭の中で思いつく、少年の中の「ことば」脳 と「絵」脳の、脳内対話(右脳と左脳かな?もしかして)で、いろんなポスターができていく。
そのやりとりが、広告を作る時の、本当の打ち合わせみたいで。ことば脳がああ言えば、絵脳がこう言い、アイデアを乗っけあったり、お互いに反発したりする様は、コピーライターとアートディレクターのやりとりそのもの。それもそのはず、作者は1979年から2009年まで続いた人気の雑誌「広告批評」の編集長天野祐吉さんだから。
そうやって少年はおこづかい値上げ要求ポスターをたくさん作っていく。けっこうどのポスターも、いいんですよね。特に僕はあれとかあれとか好きですけどね、皆さんはどれが好きだろう。お母さま方に、どれならおこづかいアップしちゃうかな、と感想を聞きたい。
ちょっと真面目に言えば、「絵と言葉の相乗効果の関係性」を学べちゃうというか、感じれちゃう絵本。さらにちょっと専門的に言えば、これは、Art & Copyといって、NYの広告の黄金期に起こったCreative Revolutionと呼ばれたムーブメントを理解できちゃう絵本。昔は、絵の人は絵だけ考えて、言葉の人は決められた絵に言葉を付ける、そんな風に分業してたらしいんですが、このムーブメント以降は、デザイナーとコピーライターが共創して、1つの一番効果的なポスターのアイデアを考えるようになったんですね。
(ご興味ある方は「Art and copy」っていう映画もどうぞ。)
https://amzn.to/3UvYRAj
以上、絵本なのに、専門分野なんで何だか深く書いちゃいましたが、読んで楽しく、感性くすぐられる絵本です。
タイトルもgoodで、親子それぞれで読んでも一緒に読んでも、かなりgoodです。
言葉と絵の組み合わせのやり方って、学校の授業じゃやんないしね。
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