












坂田和實 著
新潮社 2003年 新品
いま、日本に必要なものは何か?と聞かれたら、なんと答えます?
色々あるけれど、僕は「目」と答えたい。見る目。つまり「目利き力」。自分自身、修行中、という前提で。
海外で流行っている輸入ものや、有名な誰かが良いおすすめしたものが、流行る。同じようなタイトルの、同じような人が推薦した、何万部突破、みたいな本ばかりが売れる。政策も、海外でうまくいったものを日本に持ってきた、日本版〇〇みたいな政策ばかり。クリエイティブ産業も、賞ばかりを追い求めている。誰かに褒められたり認められたりすることを第一にしてどうする。
なんて、愚痴?が先行しましたが、要はそんな世の中に、20年前に書かれたこの本を広めたいわけです。
東京・目白の裏通りにあった伝説の骨董店「古道具坂田」。その店主坂田和實さんの「芸術新潮」の連載全回分を収録した本。
前書きからもう好き。少し引用。
「美しさは知識からは見えてこない。自由な眼と柔らかな心がその扉を開く鍵らしい。ムツかしい理論よサヨウナラ。高い品物の中にしか美しいものがないと信じている人。ゴクロウさま。」
紹介されている品々も、幅があってほんと面白い。
そば猪口やオランダのガラスの徳利などの骨董らしいものあれば、平瓦もアフリカの通貨も韓国の鰻取りの道具もあれば、建築家中村弘文さんが作ったボール紙で作った模型もあれば、子供が書いた葉書を「書」として紹介されたりもしている。
野良着の展覧会をした時に、あまり傷んでないものよりボロ布の方が断然美しく、そっちの値段を高くしてたら同業者に「値段が逆ですよ」と耳打ちされたが「こちらは確信犯」。とかそういう、目利きの裏側のエピソード、つまり坂田さんの目の奥、脳裏、心の内が、1点1点について書かれている。
これが、文章が柔らかいのに痛快で。お人柄でしょうね。僕なんて、すぐトゲトゲした文章になっちゃうから。いろんな意味でお手本になる。
骨董好き以外の人に読んでほしい、目利きの教科書、価値観の教科書。
誰も目をつけてない原石の良さをひとり見つける宝石商のような、そういう日本人が増えたら、幸福度とか生産性とかイノベーションとかウェルビーイングだとか、勝手に解決、爆上がりすると思いますけどね。
だって、そういうのが、楽しいじゃないですか。
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