









都築響一 編
ケンエレブックス 2021年 新品
行けない料理店のガイドブック。なぜ行けないか?というと、もうなくなってしまった店だけが載っているから。
ない。それだけで胸が締め付けられる。行きたくても行けない。時間の不可逆性。
そういうわけで、タイトルの「Neverland diner」にも惹かれるが、サブタイトル「二度と行けないあの店で」にも惹かれる。
しかし。ない、のだけれども、いろんな人の記憶に、ある。
100人が記憶の中の100店を書いたのがこの本で、それをお裾分けしてもらう感じで読む。都築響一さんはもちろん、平松洋子さんなど食関連の方も多いが、土岐麻子さんなどミュージシャンも多い。俵万智さんは一句ついてるし、くどうれいんさんのはかなり好きだった。
good title booksでは基本的に全部読んだ本しかアップしてないが、これはもったいなくて全部読んでない。これからもたまにパラパラ読む。
初めて読む人も、頭からじゃなくて、適当に開いて読むのがなんか楽しいと思う。記憶の中の飲食街に迷い込んで、1軒入ってみる。そんな感じで。
二度と行けないあの店は、みんな誰にもきっとある。せっかくなんで自分のも数軒書いておこう。
やっぱり子供の頃に連れてってもらった店というのは人生の中でも印象が強い。実家の近くの交差点に、トネリコという洋食屋さんがあって、子供の頃の外食といえば高頻度でそこだった。壁は煉瓦。メニューはいわゆる定番の洋食。ドリアという食べ物と出会って好きになったり、コーヒーに入れる茶色い粒が大きめの砂糖をよく食べたりした。なくなったのかと思ったけれど、場所を変えて、その娘さんが続けてらっしゃることを最近知った。父が亡くなったから家族4人で行くことはできないけれど、二度と行けないと思っていたら、行ける店だった。
オレンジツリーも忘れがたい。中目黒駅徒歩1分にあったカレー屋。バターチキンカレーが最高で、建築学科出身の寡黙なご主人が焼いたナンと食べる。味も素晴らしいければ、されていることも粋で、入り口には、あまり食べられない子供のために「描いた絵とナンを交換します」と書いてあった。近くのお社に毎晩お参りされていたその背中と共にいろんなことが思い出される。
話は尽きないのでこの辺りで。この本はどこで出会ったのかと思い出していたら、今年6月末で閉館した六本木ヒルズのアカデミーヒルズライブラリーで見つけて買ったのだった(※本を買える図書館だった)。まさに、二度と行けないあの店で。
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