阿川弘之 著
ちくま文庫 2017年 新品
これ系のタイトルは、good title booksの本屋としての書評が書きづらい。
懸念してるのは、タイトルのネタバレ。なんでこのタイトルなんだろう、と興味をそそられて読みはじめて、ああだからなのねと途中でわかるタイプ。その楽しみを奪いたくなく。
しかしそう言っていると書きようがないので半分バラすと、大きな筋としては、国産旅客機での国産航空会社を立ち上げる話。だから、「飛びなさい」。「あひる」の方は、読んだ時の楽しみに。
1963年に発表された小説で、1963年にTBSでドラマ化、1968年にはNHKでも他の作品とまとめて「あひるの学校」というドラマになり、最近2020年にはNHKでラジオドラマにもなっているので、世代によってはとても有名な作品なんだろう。
「阿川弘之の娯楽傑作」と称されているけれども、自分には、面白く読めてヒント満載の娯楽ビジネス書だった。
どっかで聞いたことあるなと思いつつ、読むのを先送りにしていたのだけれど。ちょうど60年前のこの作品。開けば一気読み。
主題である国産旅客機を作る博士は副主人公(人柄がステキ。個人的に好み)で、主人公はこの博士と交流の深い叩き上げの起業家。呑み屋に始まり、天皇陛下の写真売り、進駐軍専用キャバレー経営、そして、みんなに楽しみを売る観光事業バス会社を立ち上げる。常々一計を案じ、世の中のニーズを察知し、何をするときもビジネスのヒントを探る。この人の考え方や行動が仕事の参考になる。
「一たす一は二ちゅうような算術してたら、商売は駄目です」
「楽しさをつくって、楽しさを人に売ったるねん」
「楽しさつくるには、考えてみたら、あんまり元では要らへんで」
「事業は一つの思想の具体化やと思うてるから、一年や二年の赤字でくよくよしてたら、自分のこうやと考えた仕事、出けへん」
とは主人公の言葉。
もちろんストーリー自体も、ビジネスのことそっちのけにしても、面白い。エンディングは粋で感動的。
あとがきで、息子さんが「作中、不適切な言葉で表現している点、時代背景の相違ということで何卒お許し願いたい」と書かれている通り、その点だけはご容赦いただきつつ。
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